天保山で開催されているジョジョ展に行ってきました。
東京や宮城(仙台)では開催されていたものの、西日本での開催は今回が初。しかも開催場所は地元・大阪。
となると、行かない理由がない。
…とはいえ、ぼくはジョジョの熱狂的なファン…という訳ではありません(爆)
なんせジョジョは「3部・4部」、「5部の最初」、「6部の最初と終わり」・「8部の最初」しか読んだことがないので。
一緒に行った友達に「何でそんなに変則的な読み方をしてんの!?」って突っ込まれたんですが…言われてみれば確かにだいぶイレギュラーな読み方ですよね 笑
ただ、中途半端にかじってるので、ディオとジョースター家の因縁やスタンドの概念・発現方法など、物語の肝の部分は ばっちり抑えています。
なので、まぁ…楽しめるだろうと。(分からんかったら友達に聞けばいいし)
てな訳で感想をば。
目次
【ジョジョ展】荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋|感想
絵の巧さや色彩のセンス・構図の秀逸さなどは、色々な方がブログやらTwitterなどで言及しているので割愛。
個人的に一番楽しかったのは、音声ガイドを借りることによって聞ける荒木 飛呂彦(あらき ひろひこ)氏本人による制作秘話でした。
一番印象に残っているのは、今回の原画展のキービジュアルについて。
[荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋]開催中ッ!
いよいよ10/1(月)まで!@東京 国立新美術館https://t.co/5wgQKmcLt0
11/25(日)〜@大阪 大阪文化館・天保山https://t.co/ktfiyQAtBDチケット情報など詳細は公式サイトをチェックしてくださいッ! pic.twitter.com/nCiG3pMcBt
— ジョジョの奇妙な冒険 公式 (@araki_jojo) 2018年9月25日
今回の展覧会の開催場所は、「東京」と「大阪」。なので、2枚描くことが最初から決まっていたそうです。
キービジュアルのコンセプトは「善と悪」。
…であるならば、描かれるのは当然 本作を象徴するキャラクターである「承太郎」と宿敵「ディオ」。
ポーズに関しては、承太郎は主人公らしく「来い!」と挑発的な感じ。
対してディオは、承太郎とは正反対。物思いに耽っており、知的なイメージも相まってか哲学的な雰囲気を醸し出しています。
作者いわく「何で負けたのかなぁ…とか考えてるんですかね〜」とのこと(ここはちょっと笑った。えっ、そうなの!?みたいな )
なお、ディオのポーズはフィレンツェにあるメディチ家礼拝堂の彫刻を参考にしているそうです。
あとキービジュアルのDIO様は、フィレンツェにあるメディチ家礼拝堂の彫刻がモチーフらしい…美しすぎ…#JOJO展 pic.twitter.com/Aov49sKjYo
— おのわたる🐶🐶デザイナー (@7_Petro) 2018年9月30日
続いて背景に関して。
承太郎側は「富士山」。形でいうと三角。対してディオは「月」。形は丸。
異なる形状の対比で、躍動感のある描写になっています。視覚的バランスも良いですね。とにかく美しい…
あと、ジョジョといえば「ラッシュ(ガード不可避の高速連続パンチ)」。
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
#サ行の音を使わずに死を表現する pic.twitter.com/c3LicGHcjp— 宇良 垢之介 (@QoBXnXht38wYNmz) 2019年1月10日
一見、描くのはめちゃくちゃ大変そうなんですが、作者いわくサクッと描けるとのこと。
そのため、このシーンを描くのが楽しみで仕方ないそうです。
…というのもラッシュはいわば「決め」のシーンのため、大体が話の終盤で描かれます。
なのでこれを描いたら仕事終わり+話の幕引き。そりゃテンションが上がりますよね 笑
ちなみに、このシーンはほぼ一人で書ききっており、担当に任せるのはトーンや集中線位だそう。スゲェ…
その他、印象的だったのは下記2点。
- 漫画を描くときに、この世で一番怖いのは何かというのを考えた。出した結論は「因縁の連鎖」。
- スタンドを出した理由は、3部が始まる前 担当に「波紋では弱い。”なにか”新しいことを考えた方がいい」と言われたから。
因縁の連鎖…いわば積年の恨みってやつですね。…考えたこともなかったですが、それが自分の身に降りかかるとしたら たしかに怖いですね。。
スタンドについては、「ほ〜」と思いました。これは担当さんかなり良い仕事をしたのでは。
1部・2部を見ていないので何ともいえないですが、スタンドは今やジョジョの代名詞でもあるので、担当さんの読み通りですね。
それにしても、どちらとも徹底的読者目線。「読者をいかに楽しませるか」に重きを置いてますよね。エンターティナーだな。。見習わねば。
絵以外で気になった展示内容は、荒木先生の創作の秘密に迫った「ジョジョリロン」。
その中で特に印象的だったのが、絵の技法について。
荒木先生の絵はとにかく鮮やか。
特に背景が印象的で、空がピンクやオレンジだったり、地面が青色だったりと既成概念を覆した色を多様していました。
その特徴的な色彩は なんでも、イタリア・ルネッサンス絵画で使われていた「カンジャンテ」という技法を用いているのだそう。
カンジャンテ(玉虫色)に注目してルーブル美術館を鑑賞しました。固有色の反対の色を使うことでツヤと奥行きを出し色数も少なくできる
と「ジョジョ展」最後のコーナー「ジョジョリロン」で荒木飛呂彦先生もこの手法を活用してると聞いてとても興味があったのです。イタリアのルネサンス期に多いです pic.twitter.com/C6OUapr9XL— ケロけろみん (@K6k6kreomin) 2018年11月8日
通常影の部分には、暗い色を用いますが、この技法では黒や灰といった暗い色は使いません。
メインで使っている色とは違う色(有彩色)を使用し、影を表現します。(例:黄色の服の影を赤色で塗る…など)
つまりめちゃくちゃ鮮やか。
この美しい色合いとジョジョのキャラクター達の相性は抜群で、とても印象に残っています。
今頃ジョジョ展の写真。
絵画的な作品もカラー原稿も、実物はより一層美しく色あざやかではしゃいだよ。
荒木先生の解説つき音声ガイドもよかった。
明るくしてフィルターなし。#ジョジョ展 #荒木飛呂彦原画展 #latergram https://t.co/Qe7Xf9103p pic.twitter.com/UWrRpELR4g— ポニャ子 (@ponya_ko) 2018年10月30日
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あと、驚いたのがキャラ設定の緻密さ。
なんでも荒木先生は「身辺調査書」という履歴書の様なものを用いてキャラクターの肉付けを行っており、その調査書には血液型や年齢はもちろんのこと、その人物の経歴・趣味嗜好まで記載されていました。
2・3人とかではなく、登場人物全員にこういった緻密なプロフィールを用意するってことですからね…すごい労力。
でも、こういった地道な努力の積み重ねがキャラクター達に命を吹き込んでいるんだなーと感動しました。
ジョジョ作者は登場人物の履歴書を作るから、
ファンタジーだけどリアリティと説得力あるんだと思うキャラの行動がぶれないし、細かいところで凄い人間性あふれてる感
— sei (@ssei78) 2018年10月3日
あとは漫画論かな…
荒木先生いわく「漫画はプラスが積み上がっていかなければならない」とのこと。
要は主人公が不幸になる様な話ではいけないということです。
で、いわゆるジャンプ(少年漫画)でありがちなのが、「トーナメント制」。
ドラゴンボールみたいに「どんどん強い敵が出てくる」パターンですね。
このパターンは上がりきったら終わりなので、結果的に漫画の寿命を縮めかねません。
そのため、ジョジョ3部は”道中もの”にすることで”そういった懸念点”を回避したとのこと。
これは「なるほど〜」と思いました。
たしかに、トーナメント制のバトルものは次から次へと強い敵が出続ける結果、パワーインフレが加速。結果、後付け設定や矛盾が生じ、迷走してく…みたいなパターンが多いですもんね。。
荒木飛呂彦の漫画術
ジョジョって天才が超感覚で書いてる漫画だと思ってたけど、ヒット作を漫画だけじゃなく映画や小説まで研究してて、なぜこうしたのか全部理由を説明できてる漫画だった。キャラの作り方とか細かすぎてびっくり。いや、逆にここまでやれるから天才なんだな…!#あいさの読書メモ pic.twitter.com/zBdGtSjRsR
— あいさ (@aissgt) 2018年10月19日
その他、展示物では「JOJO × 森永邦彦」のコラボレーションが良かったです。
森永邦彦さんは、ANREALAGE(アンリアレイジ)のデザイナーですね。
コラボ作品は当然「服」。ギャラリーには、紫外線で照らすとジョジョの柄が浮き上がる服が5着展示されていました。(紫外線が照らされていない時は、ただの真っ白な服)
特定の状況下で無いと本来の柄が見えない今作で、「スタンドはスタンド使いしか見ることができない」を疑似体験させているとのこと。
秀逸なコンセプト。「だからアンリアレイジなのか!!」とすっと腑に落ちました。
あと、ぼくはファッションが好きなんで、アンリアレイジのお家芸ともいえる”フォトクロミック技術”を生で見ることができて嬉しかったです。
「ANREALAGE EXHIBITION “A LIGHT UN LIGHT”」
光と服 pic.twitter.com/kyOMiOLmy0— ゆきの (@a8b0cf) 2018年6月9日
展示されている絵で一番グッときたのは、スティール・ボール・ラン(7部)16巻の表紙です。
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コミックスと違い原画では、馬に乗っている二人が遠くに描写され、かつ手前の男性も描かれていませんでした。
そのため余白がたっぷりと設けられており、また縦横に塗られた4色の絵の具によるラインが効果的なアクセントとなっていて、ダイナミックかつ洗練されたデザインでとても印象に残っています。
あとは、ディオですね。
この展覧会の大きな目玉は、「裏切り者は常にいる」エリアに置かれている等身大のキャラクター原画。
そこで描かれているディオ様が…ディオ様が…完全に変○者でした 笑
書き下ろしの等身大原画のコーナーがあるのだけど
DIO様がどうかしていて素敵。
太陽の下にいるのは100歩譲っても股間のそれはなんなんだ。
荒木先生はどうかしている
(そこにシビれる!憧れるぅ!)
#ジョジョ展 pic.twitter.com/cKPqA9vixu— silentspice (@silentspice) 2019年1月3日
ジョジョ展は、1月14日(月)をもって終了なので、興味のある方は是非!
ただ、土・日・祝は時間制のため、行ってすぐ入れる..という訳ではありません。
また会場でチケットは売っていないため、事前のチケット購入は必須です!(購入場所はローソン)
あと、めちゃくちゃ並ぶので20分〜30分前には会場にいた方がいいですね。
そんな感じで。終わりッ!!
ジョジョ展 in 大阪:概要
会期 | 2018年11月25日(日)~2019年1月14日(月) |
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会場 | 大阪文化館・天保山(海遊館となり) |
開場時間 | 午前10時~午後8時(最終入場は閉館の30分前まで) |
入場料 | 一般 1,600円/大学生 1,200円/高校生 800円(中学生以下無料) |
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