杉本博司の作品展「瑠璃の浄土」を見に京都市美術館へ|感想や写真とか

【感想や写真】杉本博司の作品展「瑠璃の浄土」を見に京都市京セラ美術館へ|アイキャッチ画像

ダリ展以来、約4年ぶりに京都市美術館へ。

京都市京セラ美術館の外観写真

3年間の改装工事を経て、リニューアルオープン

目的は、リニューアル後初となる展覧会、「杉本 博司(ひろし) 瑠璃(るり)の浄土」。

本展は、雑誌「Casa BRUTUS(カーサ ブルータス )」で特集が組まれており、それを見てからというもの、オープンを心待ちにしていました。

…がコロナの影響で、オープンが2ヶ月もずれこみ、さらにしばらくの間は「京都府在住者」しか来館できない事態に。

「これ、ゴッホ展の時みたいに、見れないパターンちゃうん…」と心配していましたが、延期した日程分まるまる延長されることになり、その心配は杞憂(きゆう)に終わりました。

てな訳で、感想をば。

杉本博司 瑠璃の浄土 in 京都市京セラ美術館|感想や写真とか

印象に残っている作品は、「Opticks(オプティクス)」と「海景(かいけい)」。

杉本博司 瑠璃の浄土で印象に残った作品「OPTICKS」と「海景」

前者は、表現手法(+発想)に。後者はコンセプトに惹かれました。

  • Opticks(オプティクス):プリズムで分光した光の階調を撮影したもの
  • 海景(かいけい):「人類共通の原風景」と「生命の源」を1枚の写真にパッケージしたもの

Opticks(オプティクス)について

杉本博司《OPTICKS》2018年 タイプC|正面からの写真1

作品名の由来は、ニュートンの著作「光学」から

キャプション(作品解説)を見ずに見た感想は、「きれいなグラデーションやな〜」位です。

大判作品ゆえ俯瞰(ふかん)で見ると迫力があり、圧倒されるものがありますが、単体で見た際、特に惹かれるものはありませんでした。

色が何で形成されているかを知るまでは。

色面を構成する要素は、上述に示した通り、光の階調になります。それの変化、つまるところ、色相環”そのもの”を撮影した写真。それがこの作品の表現手法になります。

杉本博司《OPTICKS》2018年 タイプC|正面からの写真2

つまり”色そのもの”を撮影。発想が凄すぎる…

ぼく
光色なため、混じりっけなし。グラデーションの箇所は、波長の変化による色の移り変わりを示しています。

色そのものを撮影しようという発想が一体どこから浮かぶのか?異次元すぎて、脳の処理が追いつかず、しばらくの間、呆(ほう)けたように魅入ってました。

なお、作品のコンセプトは以下の通りとなります。(めっちゃざっくりですが…)

コンセプト
光色は7色(赤・橙・黃・緑・青・藍・紫)に定義されているが、そんなことは無い。むしろ捨像(しゃしょう)された色こそ、構成要素のほとんどを占めるものであり、(それこそが)本質では無いか。

これってまんま”社会におけるあらゆる事象に当てはめることができる”んではないかと。

つまり「本質とは、白黒はっきりしているものではなく、計り知れないものである」。

ぼく
このようにぼくは解釈しました。

OPTICKSの制作に用いた光学素子(プリズム)

この機械を用いて光を7色に分離させます

これまで写真で、構図や技術的なことに唸らさられても、被写体に唸らされることはありませんでした。

なので初です。被写体でこうきたか!と唸ったのは。

杉本博司《OPTICKS》2018年 タイプC|正面からの写真3

キャプション曰く「光子を用いた絵画」とのこと

ぼく
いわば色相環を具現化した作品なので、デザインをやってる人は、皆刺さると思う。

新たな写真表現の一端を垣間見ることができ、刺激的、かつ、良い時間を過ごせました。

海景(かいけい)について

杉本博司《海景》|正面からの写真

島根・隠岐の海で撮影されたもの

この作品に惹かれた理由は上述に示した通り、コンセプトです。

つまり、「人類共通の原風景」と万物の根源である「水」と「空気」を1枚の写真にパッケージ。

その壮大なスケールコンセプト、詩的な言い方をするのであれば「ロマン」ですね。そこに惹かれました。

…というのも技術的なものはさておき、被写体自体は超普通なんですよね。水平線の写真なんて旅行好きな人なら1枚は持ってるはず。また、構図についても典型的な二分割法なため、目新しさはない。

そのため、海岸沿いに行き写真を撮るとなれば、自ずとこういう切り取り方をするかと思います。写真の知識が浅くても。

海景っぽい写真

筆者撮影。撮影地は山口・元乃隅神社

ぼく
コンセプトは無し。ただただ、水平線を撮った写真になります。

(技術や表現手法には雲泥の差がありますが)パッと見は一緒ですよね。でも上の写真は作品たりえません。単なる記録物でしかないので。

被写体・構図ともに同じ。じゃあ作品と記録物を分けるラインは何かというと、「コンセプト」の有無ですよね。

それの有無、また、伝わるか伝わらないかは超重要だと思っています。(だから、ピカソは金持ちになった。)

そこをきっちり提示してくれたおかげでとても印象深い作品となりました。

ぼく
感覚的に「ええやん!」と思って撮るのと、明確なコンセプトありきで撮るのでは、捉え方がここまで変わってくるのかと。そういう意味でとても興味深い作品でした。

杉本博司《海景》|アップの写真

古来より続く景色。原初の記憶を焼き付けたもの。

ぼく
ロマンやなぁ〜。

ちなみにこの作品、世界的ロックバンドであるU2(ユーツー)のアルバムのジャケ写にも用いられています。

その他、印象に残った作品

杉本博司《直島・護王神社》|模型

護王神社の模型

「護王神社の模型」と「ガラスの茶室」ですね。

京都市京セラ美術館|硝子の茶室・聞鳥庵(モンドリアン)

ガラスの茶室・聞鳥庵(モンドリアン)

特に護王神社は懐かしさも相まって、結構長い時間魅入ってました。

直島・本村地区にある護王神社

直島・本村地区にある護王神社

また、石室から見える景色を「海景」で再現するという粋な演出も施されており、旅の記憶をふと蘇らせてくれました。そういった意味でも印象に残っています。

杉本博司《直島・護王神社》|実物と同じ。海の景色が見える構成になっている。

ぼく
コロナが落ち着いたら”また”直島に行きたい。

杉本博司 瑠璃の浄土 in 京都市京セラ美術館|感想まとめ

総じて良い展覧会でした。

特にコンセプトが明確、かつ、小難しい表現ではなく、平易な表現に落とし込んでいる点は本当に素晴らしいなと思います。

アートって難しいんですよね…特に芸術を学んでいない立場からすると、感覚的に「良い・悪い(=刺さらない)」の判断はついても、それ以上のことは分からない。

だからキャプション(作品解説)に頼るわけですが、解説自体が難解 or 解釈自体を鑑賞者に委ねる作品も多々あり、結果、ビジュアルでしか良し悪しを判定できない。

それで結構歯痒い思いをしてきたので、ここまでわかりやすく提示してくれたのは本当に有難かったです。

ぼく
おかげさまでとても印象に残った展覧会となりました。

そんな感じで。終わりッ!!

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