2018年9月以来、約2年ぶりにハイバイの舞台を鑑賞。
(感想をサクッと見たい方はこちら→感想に飛ぶ▼)
公演名は「投げられやすい石」。9年ぶりの再演…ということで非常に楽しみにしていました。
…というのも、ぼくが”ハイバイ”にハマったきっかけが、この公演だったからです。
当時書いた感想
難しい。どう表したらいいんだろう。喜劇?それとも悲劇?
ただ言える事は間違いなく”いい”です。
終演後のアフタートークで主宰である岩井さんが、
“昔同級生の友達が亡くなって葬式に行ったんだけど、遺影が何でそんな写真チョイスしたんていう位面白かった。だけど、葬式やと言う事で誰も笑わないんですよね。”
的な事を言ってたけど、ほんとそんな感じの舞台。
面白いんやけど、笑ったら居心地の悪い感じというんかな。
まぁ、めっちゃ笑ってたけど。
こんな経験初めて。ハンマーでぶん殴られた様な衝撃。
台本で見たら普通やねんけど、役者の肉付けや演出が半端ない。後半のカオスな感じとか凄かった。
開いた口が塞がらなかったもんな…おすすめです。
追記:ほんと久々に舞台見に行ったけど、ちょっとハマりそうです。
あと、この舞台を見終わった後から、ちあきなおみの”喝采(かっさい)“が頭から離れません。
これ以降(2011年以降)、人気俳優や女優が出演する舞台含め、多数の公演を見てきましたが、未だに追っかけているのは、”ハイバイ”だけです。
目次
ハイバイ「投げられやすい石」in 三重県文化会館|あらすじ・感想など
あらすじ
話は2年前。個展の成功を受け、(これまでの人生で)一番の晴れ舞台となる場所へ登壇するところから物語は始まる。
登場人物は、3人。
- 天才芸術家の名をほしいままにした佐藤
- 佐藤の彼女・美紀
- 佐藤のバーターとして、共同で個展を開催させてもらった山田
3人の共通点は、画家であること。
佐藤は、自他共に認める天才。美紀は、凡才。山田は、世間的な評価は無いが、佐藤には認められている。
佐藤・山田共にここから!…という時に、佐藤が失踪。連絡もつかず。
そして、話は現在(2年後)に戻る。
佐藤から突然の連絡があり、久々に再開するも、そこには変わり果てた佐藤の姿が。
生気が失われた肌・まだらにハゲた頭髪、そして何より言動がおかしい。
早めに切り上げたい山田。
理由は「恐怖」、「絵を描いていないことの引け目」、そして「佐藤の元カノである美紀と近々結婚する」から。
が、最終的に美紀交え3人で会うことに。
そこから、愛・プライド・夢・希望・欲望・絶望、全てが入り混じったカオスな展開に。
感想
作品自体の感想は9年前の自分が書いているので。本公演の感想を。
当然”話”は面白かったです。ただ、カタルシスさが(9年前の公演に比べ)物足りないなと思ってしまいました。
理由は”美紀役”を演じていた女優さんの力不足かな…と。(上から目線で申し訳ないですが)
本作品の見所って「ジェットコースターのように激しく揺れ動く感情の振れ幅」だと思います。
そして、それは、3人とも決して表には出さない。けど、時折こもれ出てしまう。
その、綱渡りを渡るようなギリギリの状態でバランスを保っている所に”おかしみ”がある訳です。
当然、その状態を保てる訳がなく、最後”一気”にバーンと爆発します。ちあきなおみの「喝采(かっさい)」にのせて。
佐藤の元カノである美紀が、怒りや憎しみ、愛、やるせなさ、全ての感情が入り乱れた状態で、号泣しながら「喝采(かっさい)」を歌う姿は、9年前の自分にはとてつもないインパクトで、深く刺さりました。
ゆえに、前公演の記憶は、当時”美紀役”を演じていた内田 慈(うちだ ちか)さんの演技しか残っていません。
シアターイースト、ハイバイの投げられやすい石を観る。9年前にこまばアゴラで長女と観たのだが、岩井さんの人工ハゲと内田慈ちゃんの喝采しか記憶になく…観ているうちにどんどん思い出していった。切ない。
長女は「すごく自然で、人の人生を覗き見してる感じ」と言っていたな。やるせなかった今回も— 銀河に住む魚 (@vc7hyf4onH7ks6n) November 25, 2020
(内田 慈さんの演技は)ほんと凄まじかった。役者って凄いなと心の底から思えるほどに。
でも、本公演で印象に残っているのは、どちらかというと「佐藤・山田」の掛け合いです。
ただ、これは”本意(?)“じゃ無い筈。
なぜなら、ラストシーンの「喝采(かっさい)」に向けて、話が集約されていくような構成にしているからです。
いわば一番の見せ場。なのに、全く印象に残りませんでした。
個人的にはそれが非常に残念だったかな..と。
その他、印象に残ったことは以下の通り
・YouTuber「けみお」の名前が出てきたのが、今っぽいな…と。
・開演前SEで尾崎豊の街路樹が何回もリピートされてたので、「えっ?ラストは尾崎締め?」と若干ビビる。(喝采を聞きたかったので)
・「佐藤・山田」が一瞬だけ、昔みたく心を通わせるシーンがじ〜んときた。しかも“めっちゃ“しょーもないことで。それが尚良かった。
見ながらオドゼヒの「ニート・弁護士」の回を思い出す。
・佐藤が「お前、今描いてるの?」と、度々問い、(サラリーマンを選択したため)今は描いてない山田を見下す。
つまり、それで“マウンティング“を取ろうとする構図が興味深かった。(この記事を思い出した。)
・ハイバイの主宰である岩井さんの出演は無し。そこがちょい残念だった。
そんな感じで。終わりッ!!
ハイバイ『投げられやすい石』上田公演。すっごい緊張が最初から最後まで続いて、約90分があっという間だった。席が最前のど真ん中だったこともあるけど。「何者か」であろうとする人間の醜さ・狂気・欲望の飛沫を、思いきし浴びた pic.twitter.com/Jc3fZ5GBDb
— DL (@David_Lam10) November 28, 2020