ハイバイ15周年記念公演『て』at 伊丹市立演劇ホール(アイホール)|舞台の感想

ハイバイ15周年記念公演『て』

大好きな劇団「ハイバイ」の舞台を観に伊丹市立演劇ホール(アイホール)へ。

ハイバイ15周年記念公演『て』

ハイバイの作品は「霊感少女ヒドミ」以来、約4年ぶり。

東京を起点に活動しているため、地方公演が少ないのが悲しいところ。

ただ、地方に持ってくる=厳選した良質な作品な筈なので、それはそれでありかも…とも思ったり。

ハイバイの作品の魅力について

昔、ダウンタウンの松ちゃんが「どっかに悲しさがないと面白くない。」と仰ってましたが、ハイバイの舞台ってまさにそんな感じなんですよね。(人間の心の奥底に潜むドロドロした部分を描いた作品が多いような気がする…)

劇中、ところどころで挟んでくる笑いも、いわゆる”新喜劇”的な「陽の笑い」じゃなく、「隠の笑い」。

“不謹慎….だけど..なんだかちょっとおもしろい”みたいな。

そして、その比率も絶妙で、全体の構成の内、笑いは5〜10%程。要は、緊張の「緩和」として笑いを用いているんですよね。

ベースは悲しく、でもクスッと笑える。そして、結末は”ハッピー”じゃなく、どちらかというと”ビター”寄り。でも、不思議と後味は悪くない…けど、心に『しこり」として確実に残る感じ。

その絶妙なバランスが個人的に”とても好き”です。

あと、音楽の使い方がとにかく秀逸。

重要なシーンに”よりインパクト”を持たせるためか、劇中、J-POPヒットソングを1曲まるまる流すんですよね。

過去作では、ちあきなおみの「喝采」、キリンジの「エイリアンズ」。

そして今作『て』では、井上陽水の「リバーサイドホテル」を演者の一人がフルで歌い切ります。

誰もが知ってる名曲ばかり。だからこそ記憶にめちゃくちゃ残るんですよね。

知る人ぞ知る通好みの選曲ではなく、王道の曲をチョイスするあたりが、絶妙だなーと鑑賞するたび思います。

ハイバイ15周年記念公演『て』の感想

今回は、結成15周年記念ということで、過去作品のリバイバル公演です。

『て』はハイバイの代表作で、2008年に初演。そこから何度も再演され、今回の公演は、通算4度目とのこと。

ぼく自身でいうと、2013年以来、2度目の鑑賞です。

実は開幕するまで、このことを知らなくて、普通に新作の公演だと思ってました。

場内に入って舞台セットを見るまでは。

ただ、残念かと言われると、全然そんなことなく、むしろラッキーって感じ。特にこの作品においては。

この作品の肝は、「同じ出来事でも視点の違いで、見え方が180度変わる」ということ。

視点の違いとは「次男と母親」。そう、この作品「2部構成」になっていて、”ほぼ” 同じことを2回繰り返すんですよね。

前半は、次男視点。後半は母親視点。同時間・同一場所での展開で、異なるのは語り部の視点だけ。

それで、ガラッと登場人物(長男)に対する印象が変わるのが、この作品のすごいところ。

↓ 簡単なあらすじは以下の通りです。

父親からの理不尽なDVに苛まれてきた四人兄妹とその母親。祖母の認知症をきっかけに再集合した彼らが、過去の関係を清算しきれずに、さらに大爆発するさまを描ききった「スーパー家族劇」。

次男視点の時は、長男の横暴さが目立ちます。特に認知症の祖母に対する態度。「なんでそんなこと言うかな…やるかな…」の連発。

次男がそれに対し、憤り・怒りを感じ、言い合いに発展したり。そして、ぼくら観客もまた次男と同様の感情を抱くような作りになっています。

それが、母親視点の話になると、長男が実は不器用だけれども祖母想いの優しい子だというのが分かります。

なぜ、視点によって、こうも印象が変わるかというと、「母親・長男にとって介護は日常」、「次男はたまにしか帰ってこないため、介護は”非”日常」。

この違いです。そしてこの違いはとても大きく、前半では、正論に聞こえた次男の言い分も、母親視点の後に聞くと、上澄みだけをすくった、とても軽薄な発言に印象が変わります。

今回は2回目の鑑賞なので、開幕当初から双方の視点、要は俯瞰的(ふかんてき)視点で見れたのがよかったかな。

・・・

以下、Twitter上の感想から抜粋。

物事には多面性があるから、それがその人にとって正義だとしても、それは、一つの事実の違う面でしかない。

立場を変えると見え方が変わる」。それを体現した舞台。うん。やっぱ凄く良い作品だなー。改めて見れてよかった。

そんな感じで。終わりッ!!

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