【感想レポ】よつばと!の原画展を見に兵庫へ。宝塚限定のダンボーも購入!

【感想レポ】大好きな漫画『よつばと!』の原画展を見に宝塚市立手塚治虫記念館へ。限定のおみやげダンボーも購入!

手塚治虫記念館で開催中の「よつばと!原画展」へ行ってきました。

自粛明け1発目の展覧会、しかも展示作品は、大好きな漫画「よつばと!」の原画ということも相まって非常に楽しみにしておりました。

てな訳で感想をば。

よつばと!原画展 in 宝塚市立手塚治虫記念館|マスクをした小岩井よつばのフィギュア

世相を反映し、マスクを着用したよつば

目次

白い原稿用紙の「圧(あつ)」たるや…漫画家凄すぎ

入り口に入ってまず出迎えてくれるのは、何も書かれていない原稿用紙です。

これは虚をつかれました。なにせ原画展なんで。当然、ペン入れされた原稿、ないしは、ネームから始まるもんだと思っていました。

よつばと!原画展 in 宝塚市立手塚治虫記念館|何も書かれていない原稿用紙からスタート

初っ端の展示作品

下部に設置されていたキャプション(作品の説明書き)には…「当たり前ですが、最初は何も書かれていません。ここから試行錯誤を重ね、絵や物語が紡がれていきます。」といった記載が。

これを見て思ったことは、「恐ろしいな」です。

よつばと!原画展 in 宝塚市立手塚治虫記念館|何も書かれていない原稿用紙の圧が凄い

白紙の圧たるや…

…というのも、ぼくはデザインを生業(なりわい)にしていますが、デザインとは「商品ありき」です。

つまり、商品を売るという課題に対して、どのような文言やビジュアルであれば、刺さるか。

その方向性を決めるため、年齢や性別、リテラシーなどでペルソナ(ユーザー像)を設定します。それで、凡そイメージの絞り込みができてくるんですよね。

そのため、「やべぇ..何一つ浮かべねぇ…」ってことは基本ないです。

よつばと!原画展 in 宝塚市立手塚治虫記念館|商業デザインは商品ありきのため、なにかしらアイデアが浮かぶ

基本何かしら浮かぶ…

対し、漫画って作家性、つまり「既に在るもの」ではなく、「自身で生み出していくもの」だと思います。

特に「よつばと!」みたいなフィクションに属する漫画は。

…となると、ストーリーやキャラクター、演出(魅せ方)、セリフはもちろんのこと、一話完結式あればオチを。

そうでなければ、引きの強い終わり方までをも考えなければなりません。

そして、それらを規定のページ数以内に収める必要があります。

当然、締め切りまでに。

…って考えた時、何も書かれていない原稿用紙の圧ったらないです。マジで怖い。凄みすら感じました。

よつばと!原画展 in 宝塚市立手塚治虫記念館|何も書かれていない原稿用紙の圧が凄い

圧が凄いんだわ…

どう生きてきたら、こんな話を思いつき、具現化できるのか…

「白紙の原稿用紙」を前にすると、畏怖(いふ)の念を抱かざるを得ないですね。

改めて漫画家って凄いんだなーと。そんなことを感じさせてくれる展示作品でした。

よつばと!のコマ割りはオーソドックス。

変則的なコマ割りは一切なく、キチッ、キチッと区切ってるなーと。

悪く(?)言えば、THE・普通。よく言えば、非常に分かりやすい構成だなと思いました。

よつばと!原画展 in 宝塚市立手塚治虫記念館|よつばと!のコマ割りはオーソドックス

コマ割りは普通

ぼくが好きな漫画のジャンルは、バトル系やスポーツ系ですが、これらのジャンルって変則的なコマ割りが多用されているんですよね。

それで、躍動感や迫力だったりを演出しているわけですが、個人的にはそっちの方が好きです。ハラハラ・ドキドキといった高揚感やスリルを与えてくれるので。

よつばと!原画展 in 宝塚市立手塚治虫記念館|バトル系やスポーツ系の漫画が好き

バトル漫画 is 至高

よつばと!の場合、ジャンルが日常系であること。

また、小さい子供も見ることから、あえて時系列が分かりやすいオーソドックスなコマ割りを採用しているのかな?

まぁー、ドラマティックな展開なんかは当然ないので、必要ないっちゃ必要ないですもんね。

前作「あずまんが大王」の時は、4コマだったので、コマ割りに注視することは無かったですが、(よつばと!に関しても)そこに変化はなく、4コマの延長線上といった感じですね。

ぼく

例えるなら、ドラえもんのコマ割りに近いかな。

よつばと!は、背景の書き込みが凄い

コミックスでも十二分に”その凄さ”を感じていましたが、改めて。

街並みなどの景色はもちろんのこと、場を成立させるためだけに存在する”モブキャラ”に関しても、きちんと描いてるのは、単純に凄いと思います。

モブキャラのイメージ

モブキャラ=無個性

まぁー背景を凝ることに関しては、物語を阻害する要素にもなり得るため、一概に「緻密な書き込み=正義」ではないかと思いますが、日常系では”あり寄り”の考えなのかなーと。

よつばと!原画展 in 宝塚市立手塚治虫記念館|背景がシンプルだと人物が目立つ。背景が緻密だと人物が目立たなくなる。

…というのも、日常系=特別なことは起こらない、いわば暮らしの中でつい見過ごされている出来事を掬(すく)っていく話がメインなため、ことさら背景に説得力を持たすことは重要なんじゃ無いかと。

ぼく

これがバトル系などストーリー展開重視の作品だと、邪魔ですよね。(例:最近のワンピースとか…)

昔、漫勉(まんべん)という番組で「浅野いにお 」さんが、暮らしの土台としてまず街がある。次いでそこに暮らす人々。

だから背景をおざなりにする訳にはいかない…と仰っていましたが、よつばと!にも通じるものがあるのかなーと思ったり。

なお、よつばと!の背景で好きなのは、8巻収録の「よつばとたいふう」の雨の描写です。個人的に、土砂降りの表現で、この回に勝る漫画はないと思っています。

ぼく

雨の質感がとにかく凄い。あと、この話のオチも好き

よつばと!は加筆、修正が凄い

コミックスは、雑誌と違い、作品としてずっと残るものなので、ほとんどの漫画家さんが加筆・修正を行っていると思いますが、よつばと!も例に漏れず。

よつばと!原画展 in 宝塚市立手塚治虫記念館|加筆・修正の例

この原画展で展示されていたのは、「よつばとまえのひ」に収録されているスーパーでの1シーン。

よつばが「みんなー」と呼びかけ、近くにいるお客さんが振り向くというシーンですが、コミックスと雑誌では、若干違う構図に。

ぼく

コミックスでは、画面右端に「棚」と「人物」が追加され、奥行きのある構図に修正されていました。 

細かい修正ですが、見比べてみると印象が全然違うんですよね。

  • Before(雑誌掲載時)近くのお客さんに呼びかけてるようなイメージ
  • After(コミックス)結構離れてるお客さんにまで声が届いてるイメージ

ぼく

よつばが大声を出している描写なため、絵とマッチしているのは当然後者です。 

見ている人のほとんどが気づかない(気にしない)レベルの修正かと思いますが、詰めの甘さって気づく人は気づくんですよね…

そして、その「まぁーいいか」の積み重ねが後々大きな差になる訳で。。

そのため、一流の人ほど細部まで徹底的にこだわり抜いてるイメージです。

こだわりの強さ、言い換えるならば、美意識の高さが一流たる所以(ゆえん)ですね。

そんなことを感じさせてくれる展示作品でした。

1番良かった展示物は、コミックスの表紙を拡大したもの

個人的に1番グッときたのは、コミックスの表紙を拡大したもの。

コミックスのサイズはB6 (横128 × 縦182 mm)ですが、この原画展では、A4(横210 × 縦297 mm)サイズまで拡大されていました。

よつばと!原画展 in 宝塚市立手塚治虫記念館|一番好きな展示作品は、コミックスの表紙を拡大したもの

表紙の拡大展示。めっちゃ良かった

漫画展で展示されている一枚絵ってすごく好きなんですよねー。

生原稿も感動するっちゃするんですが、(展示されている)原稿に関しては、基本”清書済みの原稿”のため、コミックスと大差がない訳です。

好きな作品なので、当然本編は読み込んでるし、言うなれば、ぼくは漫画家ではないので、線の引き方やトーンの使い方など、いわゆるテクニック的なことには”それほど”興味はありません。

線の引き方やトーンの使い方など、漫画のテクニック的なことにそこまで興味はない

技術的なことは左程…

なので、(漫画本編の)原稿よりかは、表紙や扉絵、挿絵、画集の描き下ろしイラストなど、普段フィーチャーされないものがバーンと展示されている方がテンションが上がります。

ぼく

なお、個人的に好きなのは、3巻と12巻の表紙。

3巻は郷愁(きょうしゅう)にかられる点に惹かれ、12巻は画面を構成する要素の全てが好きです。

展示物の中にハチクロの漫画が!? 理由はおそらく…

これは、笑っちゃいました。

なぜ展示されているかというと、5巻収録の「よつばとてつだい」で、風香ちゃんの読んでる本が「ハチミツとクローバー(通称:ハチクロ)」だからです。

で、そもそもなんで作中にハチクロを登場させようと思ったのか…

その理由は、(おそらく)「とーちゃんが履いてるトランクスの柄」と「3月のライオンの”あかりさん”が着ている服の柄」が被ったところからきているのではないかと。

よつばと!のとーちゃんが履いてるトランクスの柄と3月のライオンの"あかりさん"が着ているワンピースの柄が被る

なんでも、作者である”あずまきよひこ”さんと”羽海野チカ”さんがよく行く画材屋(?)が一緒らしく、そこで同じスクリーントーンを購入…

それを”あずまきよひこ”さんは、トランクス(パンツ)に。”羽海野チカ”さんは、あかりさんのワンピースに使用したという訳です。

これ3月のライオンの巻末で、ネタにされてたんですよねww それを思い出して笑っちゃいました。

よつばと!原画展|まとめ

日常系は、バトル漫画と違い、起承転結がどうしても弱くなるので、難しいジャンルかと思います。

原画のみならず、数多くのネームも展示されていましたが、その数の膨大さをみると、1話作るだけでも、身骨を砕くような苦労が伴ってるんだなーと。(当たり前ですが…)

そして、それだけ苦労して描いても、「面白いか」「面白くないか」の評価は一瞬。

そんな厳しい世界の一端に触れられたのと、あとは好きな作品の生原稿や裏側を見れたのが良かったです。

ぼく

好きな漫画の原画展に勝る展覧会はないですね。商業デザインの極み。ほんと素晴らしい。

そんな感じで。終わりッ!!

よつばと!原画展 in 宝塚市立手塚治虫記念館|宝塚限定のおみやげダンボーとクリアファイル

お土産にクリアファイルとダンボーを購入

ぼく

ちなみに、よつばと!で1番好きな話は、4巻収録の「よつばとしんぶん」です。

よつばと!原画展2020 in 宝塚市立手塚治虫記念館:概要

よつばと!原画展 in 宝塚市立手塚治虫記念館|よつば、とーちゃん、ジャンボのパネルとジャングル大帝レオの置物

開催期間 2020年年6月8日(月)〜 10月18日(日)
開館時間 9時30分~17時(入館は16時30分まで)
入館料
  個人 団体(10名以上)
大人 700円 560円
学生(中学生・高校生) 300円 240円
小人(小学生) 100円 80円
定休日 毎週水曜日(祝日と重なる日・春休み及び夏休み中は開館)
電話番号 0797-81-2970
所在地 兵庫県宝塚市武庫川町7−65
HP 手塚治虫記念館

手塚治虫記念館:MAP(地図)

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