先日、阪急うめだギャラリーで行われていた「新海誠展」に行ってきました。
本日10時より阪急うめだ本店9階阪急うめだギャラリーにて新海誠展開幕いたします!関西では初開催!皆さまのご来場を心よりお待ちしております。#新海誠展 #阪急うめだ本店 pic.twitter.com/M092fim4UL
— 新海誠展 公式アカウント (@Shinkai_ten) 2018年3月14日
きっかけは、阪急電車内の中吊りポスター。
それを見るまで大阪で「新海誠展」が行われていることは全く知りませんでした。
しかも見たのは展覧会 会期最終週の日曜日。
コレを逃すと2度と見れないッ!!ってことで、当初予定していた勉強スケジュールをずらし、展覧会へ。
新海誠展の感想とかレポとか
今回の展覧会のタイトルは “新海誠展 ―「ほしのこえ」から「君の名は。」まで―” 。
なので、デビュー作から最新作まで、すべての作品が網羅された展覧会となります。
展覧会の構成は以下の通りで、”制作の裏側”から”当時受けたインタビュー記事”までバリエーション豊富なラインナップで展開されていました。
- 制作資料の展示
- 言葉の展示
- 主題歌の展示
- 映像の展示
“みどころ”は当然 絵コンテや作画、設定資料などの制作過程がわかる「制作資料の展示」ですが…
新海誠さんの作品は「秒速5センチメートル」しか見たことないんですよね…
あれだけ話題になった「君の名は。」すら未鑑賞。なので「どういったプロセスを経て、このシーンに行き着いたか」を見ても、作品自体に思い入れが無い為、「へー…」とは思っても「おー!!」とはならない。
なので、どちらかというと「言葉の展示」を中心に鑑賞しました。
「言葉の展示」は当時受けていたインタビューや、対談記事など、監督自身にフォーカスした内容となっています。
その中でも刺さったのが、監督自身が当時の状況や心境、作品に込めた想いを語った「新海誠の言葉」。
全ての作品にその”言葉”が用意されていたのですが、ぼくが一番グッときたのは、デビュー作「ほしのこえ」に添えられていた”言葉”でした。
「ほしのこえ」は勤めていたゲーム会社を辞めて、8ヶ月間 部屋にこもってひたすら作った。
バイトもせずに会社員時代の貯金をくいつぶしていたので、フリーターですらない。本当に何者でもなかった。
その何者でもない自分がほかのひとがやってないものをつくっているという感覚はどこかにあって”ここにいるんだ”と叫びたい気持ちがあったと思うんです。
この言葉は現在進行形で”何かを成そう”と考え、”実行している人”であれば、グッとくる筈。
スターダム街道を駆け上がることはできても、一足飛びにその位置に行き着くことは基本できません。
「今の成功」はまさに「過去」 “何者でもない”存在だった時代、ひとりアパートの一室に籠ってひたすら制作に没頭していた時代の延長線上にあるんだなーと。
まぁ、成功しているほとんどの人がこうした苦節を経て大成している筈なので、当たり前っちゃあ当たり前のことですが、その当たり前のことを”やり続ける”のがとても難しいんですよね…
おそらく当時は、”世の中に新しいものを提示するんだ!”という一貫した信念、確固たる目標を持って制作に取り組んでいたかと思いますが、成功の保証なんてどこにもない状況に不安や悩みを抱えることもあった筈。
そんなリスクや不安と隣り合わせの状況下でも、諦めることなく己の信念を貫き通し、ひたむきにやり続けた人だけが成功するんだなと。
↓まさにコレ。
「努力した者が全て報われるとは限らん しかし!成功した者は皆すべからく努力しておる!!」鴨川会長(漫画『はじめの一歩』より) # pic.twitter.com/vSjENeSDPM
— 【特集】アスリートの言葉 (@kakugen78) 2018年4月22日
すべては努力の賜物。
不安や葛藤など色々あったんだろうなー…と、当時の様子を想像してめっちゃ感傷に浸ってました。
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その他、印象に残っているのは下記の言葉。
動画のスキルを高めてちゃんとしたものを描く。ということは全然考えていなかった。個人でここまでの凄い映像が作れんだってことではなく。物語を完結させる。携帯をテーマにした話を書きたかった。
新海誠監督の経歴を見ると、アニメ制作会社でバリバリ働いたのち、独立…では無く、ゲーム畑出身。
当時は、パソコンゲームのオープニングムービーなどを担当していたみたいで、いわゆるアニメーション動画に関する基礎的な知識は身につけていたかと思いますが、本職の方に比べると当然スキルは劣る筈。
↓会社員時代に新海誠監督が制作した動画。
なので、アニメ制作に関しては、”ほぼほぼ”素人。
それが、下記の言葉につながる訳です。
動画のスキルを高めてちゃんとしたものを描く。ということは全然考えていなかった。
これは、何かを作りたい…でもスキルが無いしな…と思っている人、全てに届けたい。
大切なのはスキルではなく、伝えたい想い(と客観的視点)。そこさえブレなければ刺さる人には刺さるかと。
ちなみにこの言葉もデビュー作「ほしのこえ」に添えられていた”言葉”です。
ぼくはこの作品を見ていない為、面白いかどうかは分かりませんが、結果だけみると、公開されるやいなや瞬く間に、ネット上の口コミを通じて強烈な支持を集め、単館上映にも関わらず1ヶ月に3,500人もの人数を動員したとのこと。
ちなみに、公開された映画館は、50席足らずの劇場です。そこに3,500人ですからね。
成功に繋がったのは、映画自体の面白さもあったかとは思いますが、”自主制作アニメでここまで凄いものを作った”っていう背景も成功に繋がった要因なんじゃないかと。
なにせアニメの場合、1秒動かすのに24枚の絵が必要です。
“ほしのこえ”の上映時間は25分(1,500秒)の為、単純計算で「36,000枚」の絵を用意した筈。
こんなもん”狂気じみた情熱”が無いと到底無理ですよ…
よく心が折れなかったなと。
そういった情熱や気概・熱量に突き動かされて人が集まり、映画自体も期待を裏切らないクオリティだった為、絶大な支持を得たんじゃないかなーと思います。
会社員時代は、夜中に帰宅したあと午前3時頃までアニメーション制作を行い、翌朝6時に起床し出社するというような生活を送っていた。
引用:Wikipedia
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あと、この言葉も良かったな〜。
当時強く思っていたのは、 こういう映画を必要としている人が世の中にはたくさんいるに違いない。ということでした。どれも悲しい話ではあるけど、登場人物たちを美しい風景の中に置くことであなたも美しさの一部です。というふうに肯定する。それによって誰かが励まされるんじゃないかと思いました。
これは”秒速五センチメートル”に添えられていた言葉。
“秒速五センチメートル“は、見ると凹むので個人的にはあまり好きではありません 笑
ただ、風景描写の綺麗さには凄く引き込まれました。特にエンディング。
短いカット割りで矢継ぎ早に過去 〜 現在までを描写。その時々でのキャラクターの心情を「One more time,One more chance」の歌詞とリンクさせ、描いているんですが、風景の力がとにかく凄い。
とにかくリアル。このリアルさ、言い換えるなら、”描写力の高さ”が物語の厚みに大きく寄与しています。
なぜ風景描写にそこまで”力”を入れるのか、その意図が知れて良かったですね。
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…と、まぁこんな感じで、新海誠監督の作品を”ゴリゴリ”に見てる人とは違う視点で楽しんでました。
ファンだったらおそらく「制作資料の展示」を中心に見てた筈なので、コレはコレで良かったかな。
個人的には、新海誠監督の”何が何でもやり切るんだ!!!”という執念の強さ・気概にとても感動しました。
うん。行って良かった。
そんな感じで。終わりッ!!
- 【宮崎】みやざきアートセンター:2018年4月14日(土)~ 5月27日(日)
- 【宮城】TFUギャラリーMiniMori:2018年6月2日(土)~ 7月8日(日)
- 【福岡】北九州市漫画ミュージアム:2018年7月21日(土)~ 9月24日(月)
- 【石川】金沢21世紀美術館:2018年10月6日(土)~ 11月2日(金)
- 【青森】青森県立美術館:2018年11月10日(土)~ 12月9日(日)
- 【沖縄】沖縄県立博物館・美術館:2018年12月18日(火)~ 2019年2月3日(日)
- 【愛知】ジェイアール名古屋タカシマヤ:2019年2月16日(土)~ 3月3日(日)
↓見なくちゃ…(使命感)
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↓男性は”ほぼほぼ”打ちのめされる筈。男女の恋愛観の違いを学べる映画です 笑
↓今回の展示会の図録。
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