本公演を見るのは2013年、2018年に続き3回目。
2018年の感想
約7年ぶりといえど過去2回見てるし、前回と違い会場の規模もグッと広がってるので本公演はスルーするつもりでした。
…が、ハイバイ主宰(しゅさい)の岩井さんが本作品の演出に携わるのは今回が最後とのこと。
ほな行くしかないやん!ってことで行ってきました。
目次
劇団ハイバイの20周年公演!舞台『て』in 兵庫の感想
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本公演の肝はリフレーミング。つまり同じ出来事を立場の異なる2者の視点から描いている点。
1つ目の視点は「次男」。2つ目の視点は「母親」。
晩年、認知症になり故人となった祖母を軸に「遺族となった家族が織りなす人間模様」を上記2人の視点から描いてます。
久々に見て感じた点は以下。
- 認知症の恐怖
- 綺麗ごとを言うだけなら超簡単
- 家族ってめんどくさい
1.認知症の恐怖
前回/前々回の観覧時には無かった視点。
幸(さいわ)い親は元気ですが、親の介護をまったく意識しなくてよい年齢ではなくなりました。
以前は、本舞台における認知とは「ストーリーの根幹をなすもの/発端(ほったん)となる出来事」。
つまり物語上の舞台装置としか思っていませんでいた。
…が、今はそこまで切り離しては見れないですね。。
祖母が壊れていく様を受け入れられず、やるせなさが態度に出てしまう。
倫理的(りんりてき)にはよくないけど、そんな綺麗ごとは所詮(しょせん)他人だから言えることであって。
自身が当事者となった時、優しさや思いやりが持てるのか。
もしくは長男同様、時にはキツめに当たってしまうのか、そんなことも考えながら鑑賞していました。
2.綺麗ごとを言うだけなら超簡単
次男視点(前半)と母親視点(後半)で長男への印象がガラッと変わる本作。
次男は介護が”非”日常。母親・長男は介護が日常。
ゆえに次男は優しい。なんなら「その言い方はどうなの?」と苦言まで言う始末。
うん、とっても正しい。人として100点満点。
でもお前、ほぼ介護に携(たずさ)わってねーじゃん。とそれまで優しいと思っていた次男への印象が変わるのが母親視点(後半)での話。
ゆえに認知症と向かい続けた/身近な存在であり続けた母親と次男で「長男に対する見え方・印象」が全然違う訳です。
次男が「会話もまともにできない/異常な行動を度々起こす認知症の祖母」と365日・長年にわたり向き合い続けても優しく居続けられるのか、
そして当事者で無い人間に苦言を呈(てい)されて、その言葉をすんなり飲み込めるのかを見てみたいですね。
3.家族ってめんどくさい
本作品って、バラバラになった家族が再構築を志し、結果失敗に終わる話でもあります。
コレが他人であれば、再構築なんて考えもしないだろうし、そもそもウマが合わない人とは、関係性の構築“以前“の話な訳で。
血の繋がりがあるゆえに関係性の構築を試み、あっ、やっぱ無理だわ…って再認識する。
しがらみって意味では職場の人間関係も近しいですが、そちらはもっと割り切れるのでね。耐えれなかったら会社を辞めればいいだけだし。
家族って特殊な関係、ゆえにめんどくせーな…と、長年会ってなかった父から”数千万円の借金相続を押し付けられそうになった”自分は思いました 笑
『て』は久々に見ましたがやっぱ面白い。さすが傑作、かつ、代表作。
構成の妙もありますが、自身の家族に起こった出来事をモデルとし、当時抱いていた怒りを熱量そのままにパッケージ化したのも相当でかいんじゃないかと。
ただ、ハイバイの関西公演って今回みたく過去のヒット作の再演が多いので、次は新作が見たいですね。(とはいえ、前回公演は新作でしたが。ただ全然ハマらなかった…)
そんな感じで終わりッ!!