美術館主催の大規模展覧会ではなく、インディペンデント系の展覧会中心にまとめてみました。
また、挙げだすとキリがないため、「映像・立体・絵画・写真」の中からそれぞれ1展/点ずつ。もっとも良かった展覧会/作品を選出しました。
目次
映像作品
伊東宣明「時は戻らない」
今まで数多(あまた)のアート作品を見てきましたが、ぶっちぎりの一位です。
凄いと思った点は以下。
- 伝えたいこと/訴えたいことを数分の映像に落とし込んでいる。
- 普遍性があるテーマを取り扱っているが、直接的(安直)な表現を用いていない。想像の余地を残してくれている。
- インパクトのある映像とし、強く印象に残るようにしている
作品は、過去/ 現在/未来を混在させた内容になっています。以下概要。
- 生きている、生きていない
聴診器で自身の心音を聴き、そのリズムに合わせ肉塊を叩く。作者が死に”肉塊側”になった時、作品は完成する。 - 人生で一番美しい
モナリザと同じポーズを取った若者達が「いま、私は人生で一番美しい。たとえ”どれほど”時を経ようとも」と未来の鑑賞者へ宣言。宣言内容は、「いま、私は人生で一番美しい。10年後、100年後、1000年後にあなたが見る私は、人生で一番美しい私」
このセリフを絵画の中のモナリザ同様、決して歳をとらない映像内の人物が次々と宣言。
そして”その宣言内容”は、現実を生きる我々にも”まんま”適用される訳です。
つまるところ”メタ構造”となっているため、自分ごととして捉えれる点が本作品の魅力だなーと感じました。 - 死者/生者
向かって左の映像では、生前 祖母が語った人生譚(じんせいたん)を流す。右では、孫である作者がその言葉を一語一句違えず復唱。次に映し出されるのは、死の床に伏した祖母の姿
これらの作品を通して伝えたいことって、「時は戻らない」「だから今を後悔しないよう精一杯生きよう」ってことだと思うんですよね。
これって、色んな人や作品が何度も擦(こす)ってきたテーマだし、皆 感覚的には理解していることだと思います。
でも、本作品群は「死」を強烈に暗示させ、根源的な恐怖を誘発させられる訳です。
ゆえに、「生あることの有りがたみ」について否応なしに意識させられるという。
「生と死」を端的に、分かりやすく。でも能動的に考える余地も残した凄まじい作品群。
会期 | 2022年5月14日(土)~ 7月18日(月) |
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会場 | 京都芸術センター |
所在地 | 京都府京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2 |
立体作品
藤井健仁「転校生」シリーズ
キャプションが無かったため、どういった意図込められているかは不明。
そのため、単純にクオリティに惹かれました。つまるところ造形美に魅せられた…ということですね。
あと、素材は鉄なのに浮遊感や風になびく様(さま)を表現できている点、そしてリビドーが刺激される点が凄いなと。
それ以外で興味深いのは顔が”いかつい”こと。
顔以外は”具体的”なんですよね。だからこそリビドーを刺激される訳で。
でも、顔を見ると一気に我に返らされます。
しかも口の中は空洞かと思いきや、歯がびっしり並んでるという。つまり牙を剝(む)いてる訳ですね。
なので、性的搾取・消費に中指を突き立てた作品かなーと思ったり。であれば、モチーフを”女子高生としている点”含め合点(がてん)がいきます。
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会期 | 2022年4月15日(金)~ 6月19日(日) |
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会場 | KYOTOba “京都場” |
所在地 | 京都府京都市中京区西ノ京南聖町6−5 |
絵画作品
星山耕太郎「Into the Face」
星山耕太郎さんは、BSフジの「ブレイク前夜」出演時から知っており、何なら作品を購入する一歩手前まで行きました。
それが今や百貨店で個展を開催。しかも百貨店の中でも格式高い「高島屋」で。
極め付けは、作品の販売形式は抽選…と、たった2〜3年で運+お金が無いと買えない作家になってしまいました。。
作品は、前衛的ではなく馴染み深い漫画的なアプローチなので、アートの素養が無くとも楽しめるかと。
ここら辺は、前職(デザイナー)の経験が活きてるなーと思います。マジョリティを刺しにきてるというか。
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会期 | 2022年5月18日(水)~ 5月30日(月) |
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会場 | 高島屋大阪店 6階ギャラリーNEXT |
所在地 | 大阪府大阪市中央区難波5丁目1−5 |
写真作品
青山裕企「少女礼讃」
好きな写真作品シリーズ「少女礼讃(しょうじょらいさん)」。
今年 関西では「大阪・奈良」で展覧会が開催。もちろん両方行きました。
少女礼讃に魅力される理由って人それぞれかと思いますが、個人的には「プラトニック・ラブ」に踏み留まっているところかなーと思ったり。
桑島智輝、藤代冥砂みたく、被写体と精神的・肉体的に結びついて、(被写体が)リラックスしてる写真も好きですが、プラトニックな関係に留まると、(被写体の)ミューズ感が増す気がします。
つまりるところ、生々しさが無い。
が、踏み留まっている…と書いた通り、防波堤は常にギリギリ。
極限状態で均衡/聖域を何とか保ってるのが隠しきれずドバッと溢れている点が良いな…と。
この作品は、モデルの選定含め、コミュニケーション強者には撮りえない。隠キャによる隠キャのための作品だと思います。その点もお気に入り。
会期 | 2022年5月21日(土)~ 5月29日(日)|2022年7月5日(火)~ 7月24日(日) |
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会場 | ギャルリ・ド・リヴィエール|奈良 蔦屋書店 |
所在地 | 大阪府吹田市垂水町3丁目1-17|奈良県奈良市三条大路1丁目691−1 |
以上、こんな感じかな。
そんな感じで。終わりッ!!