村上隆展以来、久々のアート鑑賞。
鑑賞したのは、京都・二条城で開催されているアンゼルム・キーファーの作品群。
足を運んだ理由は、写真越しでも伝わる圧倒的なスケール感。コレに尽きます。
そのため、作家本人はもちろんのこと、付随する情報(キャリア・市場評価など)は全く知りませんでした。
てな訳で感想をば。
目次
アンゼルム・キーファー展2025 in 京都・二条城の感想

左:弦理論、右:プトレマイオス
音声ガイド付けのチケットを購入。
初手のガイドが「解説するけど、作家本人はそれを望んでないだろうから本解説は無粋(ぶすい)」的な内容から始まり当惑。
「あーでも、アートってそういうスタンスやった〜」と思い直し、ガイダンスと共に作品鑑賞。
作品に付随するキャプション(説明書き)は無し。また、ガイダンスの内容も難しくスッと頭には入ってこず。。
ただ、狩野(かのう)派とゴッホのくだりは良かったかな。
いわく…
- 本展のいくつかの作品は、狩野派や尾形光琳(おがた こうりん)から受けた影響が色濃く反映されてる
- 元を辿ると、ゴッホやモネなど印象派の作家は日本美術からの影響を受けてる
- なんなら、ゴッホは弟のテオに”自身の作品は日本美術に基づいている”と打ち明けている
- キーファーはゴッホに傾倒・影響を受けた作家。なので、周り巡って日本美術の影響も受けることに
- 本展の作品でいうと、光琳の「八ッ橋図屏風(やつはしず びょうぶ)」
この作品から「ライン川」「アンぜムルここにありき」は影響を受けている

左:アンゼルムここにありき、右:ライン川
ここら辺の解説が昨年行った村上隆展と紐づいてて面白かったかな。

村上隆が描いた光琳(こうりん)のお花
なお、村上隆さんは、”現代美術をやる上で影響を受けた作家の1人”にキーファーの名を挙げてます。

あと、ゴッホの田園風景画に影響を受けた絵画「オクタビオ・パスのために」にまつわる因縁が凄いなーと。

《オクタビオ・パスのために》2024
いわく…
- ゴッホは麦畑や太陽、石造りの壁と”目の前にある日常”を描いたのに対し、キーファは本作で”原爆後の焦土”を描いた
参考(ゴッホの絵)
- 本作品もゴッホの世界観を継承しており、描かれている一部モチーフには共通点も見受けられる
- インスパイアされたゴッホの絵の所有者が、原爆の父「オッペンハイマー」だった事がのちに判明した
数奇な巡り合わせとはこの事。
他、そういった情報を抜きにして”良いなッ…!”と思った作品は「ラー」。
気に入ったポイントは以下。
- 工芸作品では観られないアート作品ならではの造形
- 城壁×日本庭園。そこに鎮座する異物感のある巨大オブジェのコントラスト
- 作品のコンセプトが読み取りやすい
3ですが、本作品って「パレットに翼が生えてるが、地上にガッチリ固定されているし、その様(さま)を蛇が見据えている」んですよね。

左:パレットと翼、右:パレットを見る蛇
つまるところ”アートといえど市場評価・世俗の目からは逃れられない”ことを指しているのではないかと。
そもそも資本(お金)があるから大型作品が作れるし、評価があるから世界遺産という好立地での実施が可能な訳で。
例え”非”商業を謳う芸術家といえど、俗っぽさに縛られてる=真の自由など無い。
つまるところ表現者としてのジレンマを表現した作品なのでは…と解釈してます。
最後に本展の全体的な感想ですが、退廃的な雰囲気がバリバリ出てて非常に好みでした。
あと絵画作品では、出し惜しみなく絵の具を使い”奥行きや重厚感がある形”に仕上げてる点が良かったです。

左:贅沢な絵の具使い、右:退廃的な作品
そんな感じで。終わりっ!!
アンゼルム・キーファー展2025 in 京都・二条城:概要
会期 | 2025年3月31日(月)~ 6月22日(日) | ||||||||
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開館時間 | 9:00~16:30 ※入場は閉場の30分前まで |
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チケット料金 |
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定休日 | なし | ||||||||
電話番号 | 075-841-0096 | ||||||||
所在地 | 京都市中京区二条通堀川西入二条城町 541 元離宮 二条城 二の丸御殿台所・御清所 | ||||||||
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